日常との使い分け
石田教諭は、教え子と同じような年代の女性に深い感情移入をしたのかもしれない。つまり恋愛感情を抱いたのだろうか。それは、生徒に向けていたある種の感情移入を、別の女性に向けるような感情であり、それがネットの空間で強まった可能性がある。二〇〇〇年の中国自動車道少女放置死事件で実刑判決を受けた中学校教諭も、中学生とわかりながらテレクラを介して少女に会ったのと同じ心境、つまり逆転移感情があったのかもしれない。ネット空間は、テーマを主としたコミュニケーションのため、行動や嗜好を肯定する場を確保できる。しかしその「世界」と日常との使い分けが上手くできず、ネットコミュニケーションにはまつていた石田教諭は、学校でも仕事中にネットを楽しんでいた。日常的には業務に支障はなかったというが、日記では、ネット使用の公私混同について管理職に怒られたことも記されていた。5月28日 ■こんなことで今日、管理職に呼ばれた。なにかしたかな?(―‐←)誰かが25日にインターネットに接続した履歴を印刷してわざわざ上に報告してるよ、むかつく。仕事中になにしてるってご指導されてショック(・‐ ・、)石田教諭の部屋にはPCが二〇台あったという。高校では「情報技術」を担当し、コンピュータを専門に指導し、夜中までネットに頻繁に接続していた姿が目に浮かぶ。そこに交際した女性たちが日の前に現れ、女性とつき合える喜びから感情移入は増していったことだろう。さらに彼女たちは自殺願望や交通事故を装った。異性が自分に「弱み」を見せるのは、援助者としての立場が強い人は、さらに感情移入をしてしまう傾向がある。
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